077028 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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Dreaming of LA  <3>

Dreaming of LA  3


彰介家族が住むパサディナ。

古くからの閑静な高級住宅地として有名な場所だ。

逗子育ちのお坊ちゃま、彰介がいかにも選びそうな場所だった。

ビョンホンの住むダウンタウンからはフリーウエイを通り、車で20分ほどの距離。

彰介は毎日この距離を愛車のレクサスに乗り通勤している。

LAのビジネスマンは車通勤が当たり前。

当然、朝と夕方はひどい渋滞に巻き込まれることになる。

彰介に指示された道は彼、御用達の抜け道。

抜け道といってもLAの道路は恐ろしく広いし、とても単純でわかりやすい。


彰介の家への道すがらコロラドブールバード沿いに
ドラッグストアのRite Aidを見つけた彼はそこで紙オムツを買うことにした。

LAには大きなドラッグストアが各所にあり、生活必需品は簡単にそろう。

しかし・・・紙オムツを買うのはもちろん初めて。

ドラッグストアなんだから・・当然売っているだろう。

英語でなんていったっけかな・・・disposal diaper・・とか何とかだっけ?

それらしい売り場に行くと山のように大きな包みが積まれている。

どれもカラフルで手に取ると写真の赤ちゃんが微笑みかけてくる。

サイズがいろいろあるのか・・・

手にとって悩んでいると後ろから手が伸びてきた。

振り返るととてつもない大きな体格の子連れのマミーがにっこりと笑っている。

「ハーイ」

「ハーイ。あ、すいません」

照れながら挨拶を返す。彼は自分が邪魔になっていたのだと思い身体をよけた。

「あ、大丈夫よ。どうしたの?何かわからない?」

「あ・・・サイズがいろいろあるんですね・・よくわからなくて・・・」

照れ笑いする。

「それはよくないわね。
自分の子供のオムツのサイズがわからない父親なんて感心しないわ」

彼女は眉をひそめた。

「あはは・・自分の子供のじゃなくて・・頼まれたんで・・」

「あら、そう?ごめんなさい。大変ね・・・
で・・そのお子さんはおいくつ?・・」

その後、彼女に相談に乗ってもらい、
買い物を無事に終えたビョンホンは車に乗ってため息をついた。

そうだよな・・俺だって子供がいたって不思議がない年なんだから。

そうつぶやいて苦笑いすると車のエンジンをかけた。



閑静な住宅街はひっそりと夜を迎えていた。

広い青々とした芝生。アイボリーの外壁に包まれた大きな家。

彼がドアベルを押すと彰介がにこやかに彼を迎えた。

「待ってたよ、ヒョン。オムツ買えた?」

「買えた?じゃないよ。全く・・そもそも何だかわからなかったんだぜ」

「そうだろうな。ヒョンには無縁だから。
ま、社会勉強さ。ありがと。助かったよ。上がって」

ビョンホンからオムツを受け取った彰介は上機嫌に彼を招きいれた。

通されたリビングではウナが身支度を整えていた。

「あ・・悪いわね。ビョンホンssi・・お留守番お願いしちゃって」

「え?何?」

「あら、聞いてないの?嫌だ・・またあの人・・クックッ」

ウナは妙な含み笑いをした。

「どういうことだよ・・」

怪訝そうに尋ねる彼に

「ヒョン。悪いね。俺たち急にパーティーに呼ばれちゃってさ。
週末だし。出かけてくるからスエのこと頼むよ。今日中には帰ってくるから」

彰介は何の問題もないようにあっさりとそういった。

「え?無理だよそんなの。俺すぐ帰るし・・」

「まあ、まあ。ヒョンはここでワインでも飲んでてよ。
スエはベビーシッターが今、寝かしつけてるから」

「シッターがいるなら俺は必要ないだろう」

「それが必要なんだな。ま、そういうことだから。じゃ、よろしく~」

「おいっ!待てよっ」

慌てて引き止めるビョンホンの声に耳を傾けることなく、
彰介とウナは迎えに来たタクシーに乗って夜の街に消えた。

「全く・・・あいつは相変わらず何を考えてるんだ・・・・」

残された彼はドアの鍵を閉めた。

リビングのソファーに腰を下ろす。

テーブルにはカリフォルニア産のワインがワインクーラーに入れられて準備されていた。

オードブルには・・・

マグロのタルタルステーキにアーティチョークが添えられたもの

卵の白身に野菜のゼリー寄せが詰められたもの

ササミを軽く炭火であぶったのか・・わさびが添えられている。

あとは・・豆腐キムチ。

「あいつ・・一応気を使ってるんだ」

ビョンホンはテーブルを見て、その気遣いに苦笑いした。

「しかし・・・全く・・・・・」

ソファーに深く腰掛け、足を揺らしながらため息をつきまわりを見回した。

広いリビングは相変わらず上品な家具でまとめられている。

そんな中、生まれてまだ半年も経たないスエの写真がいたるところに飾られているのは言うまでもない。

「・・親バカだな」

彼は笑ってつぶやいていて何気なくテーブルを見つめた。

目の前のテーブルにはグラスが2客。

取り皿が2枚・・・・フォークが2本・・・・・・

そして彰介とウナのあの表情が浮かぶ・・・・。

ビョンホンは急に何か思いついて慌てて立ち上がると

以前、案内された彰介とウナの一人娘スエの部屋に向かって階段を駆け上がった。

そっとドアを開ける。

暗い照明の中、温かい色の小さなスタンドの灯りにベッドが照らされている。

小さなスエがベッドに横たわり、その横にはベビーシッターが。

「全く・・・呆れてものが言えない」

彼は言葉とは裏腹に今にもとろけそうな笑顔で微笑んだ。

彼の視線の先には揺がにっこりと笑って口に人差し指を立てている姿があった。


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